エムテートリマツSDGs指標について

エムテートリマツSDGs指標の構築最大のポイントは、「地球と社会に良いことを増やす」という、SDGsの本質を翻訳したことにありました。たどり着いてみればシンプルな翻訳ですが、”良いことを増やす”という言葉がなければ、結局のところ発展途上国の貧困問題を解決する、という言葉に強く制約を感じてしまう状況から抜け出せません。

経営の本質は、そもそもが社会貢献であると私たちは考えています。法人は、個人と同じ社会の住人です。したがって、個人と同じ権利を有し、個人と同じ義務を持っています。納税、労働、教育という3つの義務ですね。しかし、法人には個人と同じような五感や意思表示をできるような声、目といった器官がありません。そこで、法人はその行動をもって意思表示をしています。製品やサービスはそのわかりやすい一つです。また、法人は「公器」とも呼ばれ、社会に生きる多くの個人の受け皿となっています。雇用を生み出し対価を支払うことで、個々人がより輝き、新しく社会の未来を作るための活力を提供している、はずなのです。

一方で、法人の活動はより多くの資源を必要とするケースも多々あります。ここに、地球環境の問題が関わってくるのですが、法人の重要な役割には「持続可能性」があるので、問題が生じるようなことがあれば常に対応に追われます。純粋にこれができなければ社会的存在の意味がなくなってしまうからです。

さて、これら一連の経済活動は基本的に「社会のために」あることに違いはありません。そして、地域の中小企業はグローバル企業のような関連性を世界全体に対して持っていません。もちろん、もはや資源は世界中でリンクしているのでどの地域の企業といえどももはやグローバルである、ということは事実です。また、先進国である日本は世界の発展途上国から資源を搾取しているという見方もできるのだから、そこに拠点を構える企業には責任がある、ということも事実と言えるでしょう。しかし、我々は景気の波やある程度大きな災害がやってくれば、あっというまに存続の危機に立たされる可能性がある規模であり、たとえば利益でいっても、1年に稼いだ利益で1年まるっと生きていけるかといえばそんなことは不可能に近いことなのです。

こうした企業規模において、現状のSDGsの17のゴールと169のターゲットはあまりに大きな話に聞こえますし、いざ行動しようとしても果たしてそれがどのようにそれらとつながっているのかがよくわからない、というのが実情なのです。とはいえ、SDGsへの対応は重要であるということだけは理解している。これをつなぐためのキーワードとして「良いことを増やす」という翻訳ができれば、地域の中小企業にはSDGsのためにできることがたくさんあることが見えてくるのです。