SDGsプロジェクトはどのようにして立ち上がったのか。

SDGsというテーマは、あまりに壮大な記述が多く、正直なところ自分ごととして捉えられずにいたのは事実です。それでも、2020年に開催予定だったオリンピックが近づく2018年ころから、SDGsバッヂをつける人々も増えてきており、自社でこの取り組みをどうすべきかという議論が生まれていました。

もちろん、我々も、世界的にも日本的にもSDGsについて他の法人などがどのように取り組んでいるのかをリサーチしてみました。この時点では、大きく3つの傾向にあると判断しました。ひとつは、通常行っている法人活動をSDGsの枠組みとして整理しているだけのもの。もうひとつは、グローバル企業が本気で取り組んでいるタイプのものです。そして3つ目は、地球環境をベースにした社会課題解決を主眼に置いたスタートアップ企業です。我々のように、数十年が経つ中小企業規模となると、地域貢献は日常的なものです。一方で、地球規模での貢献となるとなかなかそこまでの一歩を踏み出すことはハードルも高く、リユース、リデュース、リサイクルといった社会認知の進んだ取り組みを実施していることが重要なアクションとなっています。

経営言語に翻訳する。

とはいえ、激甚化する災害、世界を覆う感染症のリスク、気候変動に伴う国家間の資源競争の勢力図の変動など、あきらかにそれまで「前提」として考えてきた内容が変動するのを目の当たりにし、法人としていったい何をすべきなのかを思案してきたこともまた事実です。そこで我々はまず、SDGsの理解と、経営者にとって理解しやすい言語化に取り組んでみました。とにかく、SDGsに書かれている言葉は、国家間の取り決めなどが多く我々にとってはイメージしにくいと判断したためです。

結果的にはこのアプローチによって、我々は初めてSDGsについてある程度理解することができるようになりました。「経営指標」としての翻訳作業を実施したことで、地域課題と地球課題がどのようにリンクしているのかや、実際の経済活動として何をアクションすることが地域に生きる中小企業として貢献につながると言えるのか、といったことを具体的に理解することができました。2020年3月にプロジェクトがスタートし、SDGsの分析、理解を深める作業におおよそ4ヶ月の時間を必要としました。結果、私たちならではの新しいSDGsプロジェクトが姿を現すことになりました。