SDGsを経営発想で翻訳すると言うこと
SDGsを経営指標に翻訳するとはいったいどう言うことか。そもそも、SDGsは2000年にスタートしたMDGsをベースにしています。MDGsは、国連大学が主導し世界各国が8つの課題解決のために団結することを促しました。結果としては、発展途上国への資金の流れを作り出し経済発展を大きく進めることができたと評価される一方で、貧富の差やジェンダーの問題をはじめとする、多くの草の根の課題が取り残されました。同時に、国連に参加するすべての国を巻き込みより国際的に取りこぼしのない課題解決を目指して、SDGsへと昇華されたという背景があります。
このSDGsにおいて、企業の取り組みは「自主努力」という曖昧な表現の中に組み込まれています。しかし、MDGsが進行していた2006年には国連の投資原則が、SDGsが進行していた2019年には銀行原則が発足したことで、これらの取り組みが国際的な枠組みという側面だけではなく、企業活動における投資の流れに大きな影響を及ぼすことが明確化されたのです。さて、「自主努力」を行うことになる我々の企業とSDGsの相性はどうなのかといえば、国家間の政治的な取り決めを明文化しているSDGsの項目を、そのまま経営者が読み込み行動に移すのは至難の技です。ここに、経営指標としての翻訳作業が必要になると私たちが判断した最大のポイントがあります。
翻訳作業は簡単なものではありませんでした。作業は5つのプロセスに分かれます。
[ 1 ] SDGsの正確な読み込みと日本の地域事情との照らし合わせ・・・外務省から出ている日本語の仮訳を丁寧に一つずつ読み込みながら、SDGsを分析。日本の現状と発展途上国の現状とを照らし合わせながら一つ一つのゴールを分析していきました
[ 2 ] SDGsと地域事情を照らし合わせながら経営指標へと落とし込み・・・17のゴールとは別に、169のターゲットが存在しているのもSDGsの大きな特徴です。このターゲットを正確に理解することが経営指標へと翻訳する重要な決め手となりました。そこで、ターゲットの分析と地域における経営課題の照らし合わせを行いました。
[ 3 ] 経営指標への翻訳作業・・・結果的に出揃った分析資料をもとに、経営者が理解できる言い回しでの新しいSDGsのゴール設定を実施しました。結果的に、SDGsの本質は「地球と社会が共存し、ともに発展できるポジティブな活動を”増やす”」ことであると設定。
[ 4 ] エムテートリマツSDGs指標のリスト策定・・・エムテートリマツのパートナー企業がどのくらいSDGs的な経営を実行できているのかを、上記のプロセスによって具現化したリストによって評価できるようシートにまとめました。
[ 5 ] エムテートリマツSDGsチームによるパートナー企業認定とコンサル作業・・・これから本格的にこのリストを手にエムテートリマツのスタッフが各社を回りSDGs評価を実施していきます。